わき見の河川敷
不規則に入り組んだ住宅の間を縫って進むと、
その先の河川敷へ繋がるちょっとした坂道があらわれた。
坂の向こうにはどんな風景があるんだろう、
半ば本能的に私は河川敷の方へと歩み始めていた。
狭い坂道を抜け、視界が開け、2歩3歩川へと近づき、立ち止まって周りを見渡す。
「なかなかいい河川敷だなあ」。
ガッチガチにセメントで固めてしまった河川敷もあったりするが、
ここは程よく自然が生い茂って、季節の移ろいと動植物の多様性を感じる。
流路で視界が開けたその向こうに広がる山々もgoodポイント。
最初に見つけたのはピンクの『オドリコソウ』。
小学生のとき、学校帰りに道端に生えているオドリコソウを引っこ抜いて、
蜜を吸って歩いた記憶がおぼろげに残っている。今はもう、上から見るだけ。
視線を横にずらすと黄色い『スイセン』の群生を見つけた。
こんなにもさもさと存在感を放つスイセンを見ることはあまりないので、
否が応でも気持ちが昂る。
しばらくの間、昂った気持ちのまま歩く春の河川敷。
つくしや桜、あちらこちらで命が芽吹いている。
風通り良く色彩豊かなその様子は、まるで程よく人の手が入った里山のような雰囲気。
誰もそこには居ないけど、誰かの日々の仕事を感じて、心の中で「いつもありがとうございます」。
歩いたところ
- 長岡市松葉